◆村上記念病院糖尿病新聞 2014年02月14日発行
脳ドックについて
講師:村上記念病院 脳神経外科 医師 白石俊隆

脳ドックとは?

  1. 脳ドックは脳卒中が国民病であった日本独自の健診形態としてMRI,MRAが普及し始めた1988年3月に、 新さっぽろ脳神経外科病院で未破裂脳動脈瘤検診を主目的とする経静脈DSAによる脳ドックが、 同年8月島根難病研究所でMRIによる無症候性脳梗塞・白質病変検診を主体とする脳ドックが開設されたのが始まり。 その後増加を続け,現在では脳ドック実施施設は全国で600以上に及んでいると推測されます。
  2. 脳卒中は死亡率が高いだけでなく、 片麻痺や高次脳機能障害などの後遺症が高率に残る点でがんや心筋梗塞等と大きく異なっています。 したがって、脳卒中の予防は国民の健康福祉政策上の最重要ポイントであるといってもよいでしょう。
  3. ドックは、 無症候の人を対象にMRI,MRAによる画像検査を中心として、 無症候あるいは未発症の脳および脳血管疾患あるいはその危険因子を発見し、 それらの発症あるいは進行を防止することを目的とします。

脳ドックはどこで受けたらいい?

脳ドックを実施している施設であれば、 全国どこでも受けられます。 ただし、検査項目、料金、検査機器などが異なるため、十分に比較・検討を行い、自身のニーズに合った施設を選びましょう。

((参考))日本脳ドック学会が認定する、脳ドック受診病院が全国にあります。
愛媛県下には2施設あり、村上記念病院はその1つです。

【認定における主な条件】
  1. 最新の「脳ドックのガイドライン」に準拠していること。
  2. 脳ドック実施に関する責任医師が常任していること。
  3. 施設責任者および脳ドック実施に関する責任医師が日本脳ドック学会会員であること。
…など、10項目を満たした施設に限られる。

脳ドックの費用は?

脳ドックは健診に当たるので、健康保険が適応しません。 そのため、全額患者負担になります。 料金設定は施設により異なるため、受診するときは確認しましょう。

((参考))村上記念病院では、38,600円(食事付き)で以下のメニューが行えます☆

  1. 問診・診察・認知症検査
  2. 身体計測:身長・体重・体脂肪率・腹囲・肥満度・BMI
  3. 眼底検査
  4. 心電図・血圧・脈拍数
  5. 血液・血液生化学・尿検査
  6. 頭部MRI・頭部MRA
  7. 頚部MRA・頚動脈エコー
  8. 頭部X線撮影
※予約制。検診センターに申し込み。

脳ドックに使用するMRIって?

核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging, MRI)とは、 核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance, NMR)現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法。 断層画像という点ではX線CTと一見よく似た画像が得られるが、 CTとは全く異なる物質の物理的性質に着目した撮影法であるゆえに、 CTで得られない三次元的な情報等(最近のCTでも得られるようになってきている)が多く得られます。

<利点>
  • X線を使用するCTと比して放射線被爆は無い
  • 画像のコントラストがCTよりも高い
  • 造影剤なしで脳血管画像(MRA:MRアンギオ)が得られる
  • 骨によるアーチファクトが少ない
  • 軟骨や靭帯も評価できる
  • 脳梗塞超急性期では拡散強調画像が有用で、CTよりも早期に病変を描出できる
<欠点>
  • 一般的にCTと比して検査時間が長い
  • 装置が狭く、閉所恐怖症では撮影できない
  • 装置の発する騒音が大きい
  • 高磁場であるため、心臓ペースメーカーやその他磁気に反応する金属が体内にあると検査ができない
  • ヘアピン、イヤリング、指輪、入れ歯、眼鏡、磁気治療器具、金属製品は取り外す必要がある
  • 酸素ボンベや車いす、ストレチャー、生体モニタなどの医療機器をMRI室に持ち込むためには、専用のものが必要となる (酸素ボンベによる事故は今でも時々報告がある)

よく聞く「メタボ」とは?

メタボリックシンドロームといい、生活習慣が原因となる病態です。誰でもなりえますが、中高年になるとなりやすくなります。
動脈硬化は脳や心臓の病気を引き起こす原因となるため、「メタボ」を改善する必要があるのです。

脳卒中予防には、“肥満”の改善が重要になります。


〜体重の減量がすべて!〜

  1. 食事摂取量を減量して 
  2. 消費量(運動量)を増加させる
  3. 同時に筋肉量を増加させると基礎代謝が上がり、体重が元に戻るの(リバウンド)を防げる
  4. 継続すること!
  5. 毎日記録をつけて、結果を確認する  ※特に体重は、日に4回以上測定すると良い

〜無酸素運動(筋トレ)で太りにくい体に〜

無酸素運動とは、腕立て伏せ、スクワット、筋力系マシントレーニングなど、パワー系の比較的短時間で行う運動のこと。
[ 効果 ] 基礎代謝量が増え、太りにくい体になる。体型にメリハリができる。


〜有酸素運動は体脂肪を減らす〜

有酸素運動とは、ウォーキング、マラソン、長距離の水泳など、スタミナ系の比較的長い時間かけてする運動のこと。
[ 効果 ] 心肺機能を強くする。脂肪を燃焼させる。


〜ダイエット運動のポイント〜

  • 無酸素運動は土台になる筋肉から
  • 有酸素運動は合計時間が大事
  • 無酸素運動が先、有酸素運動は後に
  • 水分をきちんと摂って脱水(脳梗塞)に気をつける

最後に・・・

脳ドックで発見!! 発症前に発見される血管病変の代表

未破裂脳動脈瘤 頚部内頸動脈狭窄

早期発見、早期治療、予防のために、脳ドックを受けましょう。

村上記念病院糖尿病チーム
村上記念病院
前へ戻る次へ